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2019.05.02 Thursday

懾畏 16

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     田中さん作成の発送依頼書をコピーして、マネージャー用に控えを作った。

     24社分、あった。

     ・・・田中さん・・・すごいです・・・。異動前に、いっぱい頑張ってくれたんですね・・・。

     24社から、什器設置のOK、よく頂いて・・・。

     ・・・僕担当の店舗さんからは、仕入れる商品の金額が厳しいって、ほとんど断られたから・・・。

     ・・・

     今日中に、僕とマネージャーで、この依頼書の内容を把握して、明日は朝から佐々木さんに電話をしてもらって、佐々木さんのフォローをできるようにしておこう!と決まった。

     明日の電話の内容を付箋に書いて、依頼書21枚に貼りつけた。

     イベントをキャンセルしてきた社には、明日マネージャーが電話をして理由を聞いてみるそうだ。

     付箋に電話する内容を書きながら、僕は頭の中で自分のやるべき事を組み立てた。

     土・日は僕の方でイベントが入ってるから、佐々木さんの什器組立の手伝いは平日に行く事にして・・・、効率よく最低でも1日2社は回りたい。

     佐々木さん担当のイベントも、僕とマネージャーで手伝いに行く予定を組んで・・・、ダメな場合は他の人達にヘルプを頼んで・・・。

     ・・・イベントまでいかない規模で簡単な催事程度なら、販売部の若い僕らじゃなくても良いよなあ・・・。

     風船をふくらませて1日会場にいて、聞かれれば説明するだけだから・・・。

     違う部署の人とか、上の役職の偉い人達でも良いよなあ・・・。マネージャーから部長に頼んでもらおう・・・。

     ・・・

     そういえば、元田中さんの担当=現佐々木さんの担当って、100社だっけ?・・・

     僕が70社・・・。

     ・・・合わせて170社・・・。

     ・・・

     もちろん、全社がイベントやるわけでもないし、全社に什器の組み立てを手伝いに行くわけではないから、明日の電話次第・・・って感じなんだけど・・・。

     佐々木さん、電話を全然してないっていうから・・・、100社さん、怒ってなければいいけど・・・。

     ・・・

    「担当変わったってメールだけで、電話もなし?今頃?」・・・なんて、地方の方達、気分を害してなければ良いなあ・・・。

     ・・・

     田中さんのお取引先・・・、上京してよく顔を見せにきてくれるデパートのバイヤー達は楽しい人が多くて、僕も親しくお話させてもらったけど・・・。

     ・・・

     この発送依頼書を見ると、僕が知らないデパートさんの名前、10社以上書いてある・・・。

     どんなバイヤーなんだろう・・・。

     全然怒ってなければ良いけど・・・なんて、ちょっと虫が良過ぎるかな・・・。

     ・・・

     頼むから、最低限、佐々木さんを補佐するイベントと什器組立の出張が増えるだけですみますように・・・!

     なんだかんだ、電話で気分を害されて、直接、担当交代のご挨拶をしに行くとか・・・、佐々木さんの不義理を僕が謝罪に行くとか・・・余計な仕事が入りませんように・・・。

     ・・・

     ・・・っていうか・・・、佐々木さん、ここに来てから、毎日何の仕事してたの?・・・

     ・・・僕、何を聞かれてたっけ?・・・

     ・・・

     定番商品なら、店舗が発注してくれれば直接配送センターへ行くから、僕ら担当は何もしなくて良いけど・・・。

     ・・・

     もしかして・・・、店舗からファックスやメールで上がってくる客注商品をパソコンに入力して配送センターへ送ってただけ?・・・

     ・・・

     秋の新商品とか・・・、ちゃんとお伝えしてるのかな?・・・

     冬の商品予定とか・・・ざっとで良いから、話のついでに伝えるとか・・・。

     棚割り頼まれたら、作って差し上げてるのかな?・・・・

     ・・・

     人として、担当さんと触れ合う部分・・・、ちゃんと出来てるのかな?・・・

     ・・・

     ・・・いやいやいや・・・、佐々木さん、ここへ来てまだ日が浅いんだから・・・、あまり多くを求めちゃダメだけど・・・。

     ・・・

     でも・・・、なんか・・・、どんどん不安になってきたりして・・・。

     

     


    2019.04.19 Friday

    懾畏 15

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       佐々木さんは、はぁーっとため息をついた。

       誰に向けてかわからないけど、ため息なんて・・・。

       マネージャーもいる仕事の場では、しない方が良いのに・・・。

       ・・・

       僕は、つい一言「お気持ちはわかりますが、仕事優先で残業を・・・」と言いかけたら、マネージャーが僕を制した。

       笑顔で優しく、佐々木さんに声をかけた。

      「今日、お誕生日でしたか!それはそれはおめでとうございます!優しいお母さんですね!じゃあ、今日はもう終わりにしましょう!明日また頑張りましょう!佐々木さん、帰って大丈夫ですよ!お疲れ様でした!」

      「・・・すみません、マネージャー・・・。それではお先に失礼します。・・・什器もすみません・・・、このままで・・・。」

       佐々木さんは、マネージャーにすがりつくような目をしてすみません…と言うと、コーヒーの紙コップを持って帰っていった。

       ・・・

       ・・・素直に帰っちゃうんだ・・・。自分の仕事放り出して・・・。

       ・・・

       マネージャーに申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

      「・・・すみません・・・、マネージャーがこんなに頑張って下さっているのに・・・、佐々木さん・・・帰っちゃって・・・。僕からも謝ります・・・。」

      「加納くん、良いんだってば〜!加納くんは謝らなくても良いんだよ〜!・・・いや、ごめんね・・・、言葉さえぎっちゃって・・・。下手したら、加納くんがパワハラしてるってことになっちゃうから、そんなの理不尽だから!きちんと一生懸命仕事してくれてるのに、バカみちゃうものね!」

      「・・・ありがとうございます、マネージャー・・・。ありがたいお言葉、僕泣けます!」

       マネージャーは優しく頷くと、いたわるように僕の肩をポンッと叩いてくれた。

       ・・・

       ・・・なんて優しい・・・。

       ・・・

       気を取り直して、とりあえず、什器を片付けてみた。

       ・・・

       ・・・簡単だけど・・・、佐々木さんにはまじで無理だね・・・組み立て・・・。

       僕がヘルプで行くしかないか・・・。

       ・・・

       同じフロアーの隣りの部署の人達は帰る時間らしく、エレベーターに乗ろうと、わらわらと僕たちのそばに歩いてきた。

       僕達と佐々木さんの一部始終を遠くからずっと見ていたみたい・・・。

       マネージャーと僕の事をとても気の毒そうな目で見てくれた。

      「・・・お疲れさん・・・。・・・あの人、あれでしょう?社長の・・・。簡単な仕事だけやらせとくしかないよね・・・。」

      「それにしても、田中くんとあの人じゃ、交換にならないよねぇ〜?・・・やってらんないよね?・・・ここだけの話!」

      「・・・はぁ・・・、まぁ・・・。」

       曖昧な感じで苦笑いする僕・・・。

       他の部署の人に佐々木さんの悪口を言って、回りまわって社長の耳に入ったら・・・と恐れてみた。

       ・・・同情なんかいらないから・・・。

       ・・・

       まあでも、わかってくれて、ちょっと嬉しいけど・・・(泣)

       ・・・

       それにしても・・・、佐々木さんって、有名な人だったんだ・・・、僕、全然知らなかったよ・・・。


      2019.04.17 Wednesday

      懾畏 14

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         なんとかシミにならずにすみそう・・・。

         別に僕が焦る事でもないんだけど・・・、やっぱり一緒にいた以上は多少の責任が・・・。

         ・・・

         佐々木さんが笑顔で僕を見てる・・・。

         僕のクリーニング作業を見てたら楽しくなっちゃったのかな・・・?・・・

         とても良い笑顔だけど・・・、この状況で、何かがずれてるとしか・・・。

         ・・・

         そもそも、わかってるのかなあ・・・。

         仕事中の会社員がコーヒーの入った紙カップを床に置くって、かなりあり得ないんだけど・・・^^;・・・。

         コンビニ前でたむろしてるヤンキーじゃないんだから・・・。

         ・・・

         上がりの時間が過ぎてるから、良いって事なのかな・・・

         それとも、販売戦略ってそういう部署だったのかな・・・クレーム覚悟の深刻な話してる時、コーヒー可とか・・・。

         ・・・

         とりあえず、気持ちを入れ替えて、ぞうきんを持ってコピー室へ行こうとしたら、また佐々木さんの携帯に着信が・・・。

         さっきと同じように、階段へ行って、「まだだから・・・。」と盛んに繰り返してる・・・。

         ・・・ちょっともう気になる!

         戻ってきた佐々木さんに聞いてみた。

        「電話ですか?・・・何か緊急の用事が・・・?」

        「・・・すみません・・・。実は今日、私の誕生日でして・・・。母が『用意出来てるのに、まだ帰ってこないの?』と・・・。朝、定時で帰るって言ってしまったものですから・・・。」

         ちょっとカチンと頭にきた。

         誕生日?・・・

         用意?・・・ごちそうって事?・・・・

         ・・・

         誕生日で早く帰りたいっていう気持ちはわかるけどさ!こっちは残業覚悟で、佐々木さんの仕事をマネージャーと僕で相談してるっていうのに・・・!

         母親からの電話なら、もうちょっとガツンと「仕事だから!電話しないで!」位言えば良いのに・・・! 

         


        2019.04.15 Monday

        懾畏 13

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          「じゃあ、どうしようか・・・。これ、とりあえず一枚ずつコピーして、僕用に控えを作って、原本には付箋を貼りつける作業をしようか・・・。付箋に電話で聞くことを書いて・・・。そうして、明日C社入れて20?社、電話してもらって、スケジュール組んで・・・。加納くん、悪いけど、佐々木さんの手伝いお願いして良いですか?・・・大変だと思うけど、出張同行お願いします。加納くんが無理な場合、僕が行くから。」

          「はい、わかりました。あ、今、田中さんに電話してみましょうか?・・・ちょっと厳しいバイヤーがいるところとか、注意点、改めて聞いてみましょうか?うまくいけば、田中さん、今、手伝いに来てくれるかも。」

          「・・・いや・・・、ありがとう・・・、せっかくの提案だけど・・・。田中くん、今、販売戦略に異動したての新人状態だから・・・。新しい仕事覚えようと苦労してるところに前の部署から電話とか・・・、あっちのマネージャーが気を悪くするかもだし・・・。」

          「・・・あー、そうですよね・・・。さすがの田中さんも・・・気まずいかも・・・ですよね・・・。」

          「ごめんね・・・、せっかくの提案・・・。僕も喉から手が出るほど田中くんの力欲しいけど・・・、ここは気合を入れて田中くんの手を借りずに僕達だけで頑張って乗り越えよう・・・。加納くんには苦労かけちゃうけど、よろしくお願いします。」

          「いえ、そそそんな!マネージャーこそ、仕事増えちゃって・・・。僕で良ければ頑張らせて頂きます!」

           ・・・マネージャー・・・!ほんとになんて良い人なんだ!感動ものだよ!

          「佐々木さん、これ、コピーお願いします。縮小して・・・B4が良いかな。原本を左にして、右部分は白く開けておけば書き込めるし。」

           マネージャーは、什器を眺めながら座ってコーヒーを飲んでる佐々木さんに声を掛けた。

          「・・・はい・・・縮小ですか?・・・それは・・・A4ですよね・・・。B4に?・・・原本を左で、右を白く開けておく・・・?」

           佐々木さん、座ったまま答えてる・・・。

           ・・・そこは立ち上がるべきでは・・・^^;・・・

          「どっちでも良いからね、白く開けるのは。」

          「あのぅ・・・すみません・・・、白く開けるというのは、どうやれば?・・・」

           ・・・わからないの?!・・・

           A4をB5に縮小して、それを片側に寄せてB4の用紙にコピーするって事!

           そうすれば、自然とどっちかが白く残るから!

           ぷちっと頭に血が上ってしまった。

          「マネージャー!今僕がやってきますよ!佐々木さんは、デスクでマネージャーと明日の相談をお願いします!」

           ・・・

           ・・・は!

           つい、僕ができますモード全開で、年上の人に指示出しちゃった・・・!

          「すみません、加納さん・・・。A4ならわかるんですけど・・・B5とかB4は頭がごっちゃになっちゃって・・・。」

          「そうですよね、紙の大きさってややこしいですよね。僕、今コピー室でやってきますから。」

           ちょっとイラッとしたけど笑顔を作って答えた。

           ・・・

           だけど・・・、パソコン業務が得意なのに、用紙のサイズがわからないって・・・どういう・・・?

           縮小もよくわかってない感じだったし・・・。

           パソコンが出来るなら、コピー機とか機械関係得意そうなんだけど・・・。

           A4をそのままコピーするならできるって事?・・・

           ・・・

           マネージャーから発送依頼書の束を受け取ってコピー室に行こうとしたら、佐々木さんが「あ!」と声を出した。

           見たら、床に置いた紙のコーヒーカップをうっかり蹴飛ばしてしまったみたいで、コーヒーが見事にフロアーカーペットにこぼれてる。

           マネージャーが急いで駆け寄り、倒れたカップを起こして被害拡大を食い止めた。

           当然、佐々木さんがトイレそばの掃除道具ロッカーまでダッシュしてぞうきんを取ってくるかと見ていたら・・・。

           佐々木さんは悠然と自分の机に歩いて、引き出しからティッシュを1枚出して、それで拭こうとした。

           ・・・

           液体を吸い取るって考え方は合ってるけど、1枚じゃ絶対足りないと思う!

           あわてて、僕がダッシュしてぞうきんを取りに行った。

           水道水で固く絞って、ダッシュで戻り、シミにならないよう拭き取り作業を頑張った。

           「加納さん、すごいですね。プロみたいですね!」

           佐々木さんが心から感心した様子で、褒めてくれた。

           ・・・

           思わずマネージャーと顔を見合わせた。

           ・・・さっそく、僕達だけで頑張ったね・・・みたいな・・・。


          2019.04.14 Sunday

          懾畏 12

          0

            「そうなんだよ、うちの社長は義理人情を大事にする上杉謙信・・・じゃなくて〜。」

            「いらない!歴史ネタ引っ張らなくていいから!・・・わかった、情報ありがとう。」

            「加納さんに一つ忠告。頭にきたら負けだからね?自分が熱くなるだけ損だよ?血圧、気をつけて!」

            「・・・忠告ありがとう。今ちょっと人事部に頭きて、血が上りかけたけど、引いてった。」

            「うん、それが賢明だよ。じゃあね〜。」

            「ありがとうございました!お疲れ〜。」

             階段で電話を終えてフロアーに戻ったら、マネージャーと佐々木さんが什器を相手に四苦八苦していた。

             ちょっと見てたけど、やっぱり佐々木さんは組み立てが出来ないらしくて・・・。

             マネージャーは、こんな簡単なのにどう教えたらわかってもらえるんだろう・・・と頭を悩ませていた。

            「すみません、電話終わりました。」

             ・・・マネージャーが気の毒過ぎる。

             什器の組み立てでこれだけ苦労してるとなると、C社で二坪の売り場作りなんて到底無理なんじゃ・・・。

             ・・・3日以上かかっちゃうよ・・・。

             ・・・

            「加納くん、申し訳ないけど、こっちの打ち合わせ、参加してもらえる?」

             マネージャーは僕と同じことを悟ったみたい。什器の組み立てを諦めたようで、再び、佐々木さんの机に戻って、田中さん作成什器発送依頼書の束を手にした。

             佐々木さんは1人、部品と部品を手にして、ネジで違う箇所を一生懸命止めようと悪戦苦闘していた。

             ・・・

             ・・・えーっと・・・、佐々木さん、什器はもうやめてこっちの話に参加した方が・・・。

             ・・・でも、なんか真剣な様子・・・声を掛けづらい・・・。

             ・・・

            「加納くん、とりあえずC社の担当さんには、明日朝一で電話で良いよね?」

             マネージャーは気持ちを入れ替えたようで^^;・・・、話をどんどん前に進めようと僕にふってきた。

            「・・・そうですよね・・・。今の時間、電話しても、『こんな時間に?!もっと早く日中電話しろよ!』って怒らせちゃう気がしますよね・・・。もはやメールじゃ手遅れ・・・って気もしますしね・・・。」

            「うん・・・。朝一で連絡が遅れたお詫びをしてお手伝いの日を決めて、他の19?社も、手伝いが必要か再確認して、もし必要なら日程を調節して・・・。」

            「・・・マネージャー、それなんですけど、僕、販売戦略の同期に聞いたら、佐々木さん・・・ちょっと電話のやりとりが・・・・って言ってて・・・・。」

            「・・・加納くん、聞いたんだ・・・。うん、実はそうなんだよね・・・。でもさ、聞くことを付箋に書いて貼っておけば、それを見て相手に聞くくらい、できる感じしない?佐々木さん・・・。」

            「あ、そうですね!それは良いアイディアだと思います!」

             ちらっと佐々木さんを見たら、什器のところからいなくなっていた。

             え?どこ?

             ・・・

             目でフロアーをざっと見渡してみたら、佐々木さんはコーヒーの自販機の前に立っていた。

             ・・・いつの間に!・・・

             佐々木さんはズボンの後ろポケットから財布を出すと、機械に小銭を入れて普通にコーヒーを選んで買った。

             ・・・

             ・・・まじ?・・・

             マネージャーが頭を悩ませているそばで、悠々とコーヒータイム?

             しかも自分だけ?

             カップに口をつけながら、こっちに歩いてきた!

             ・・・

             自分、何か幻を見ているのかと自分の目を疑った。

             マネージャーも顔には出さなかったけど、ちょっと動揺してるのが伝わってきた。見て見ないふりをしている!

             佐々木さんはコーヒーを什器のそばに置くと、再び、部品を手にして考え始めた。

             ・・・

             やっぱり、こっちの机の話に参加する気ないんだ・・・。

             ・・・

             佐々木さんの携帯がまた鳴った。

             佐々木さんは階段へ移動した。「・・・まだだから・・・。仕事だから・・・。無理言わないでよ・・・。」

             さっきと同じようなやりとりが聞こえてきた。

             ・・・

             なんなん?!

             わけわからな過ぎ!

             穏やかで落ち着いた仕事が出来そうな30代のイメージ・・・どこ行ったの?!

             ・・・僕の妄想だった?!


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