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翼衛 18
 金曜日の夜、玲と侑が、今度は2人して私の実家に泊まってしまった。
 昼間はお義母さんちで遊んで、3時頃、お家に帰ろうね〜って車を走らせていたら、なぜか2人の間でそういう事になってしまった。
「明日、土曜日だよね?!おじーちゃん、帰ってくるんだよ!玲ちゃんと侑ちゃんに、クリスマスプレゼント買ってくれるんだよ!ママのおばーちゃんちに行く〜!今日は泊る〜!!侑ちゃん、玲ちゃんと一緒に泊ろ?」
「うん!!泊まう〜!泊まう〜!」
 って、2人で大騒ぎを始めちゃって・・・。
 確かに、2人と父は、そういう約束をしてたけど・・・。
 だけど、土曜日はパパも休みなんだから、昼間、4人で公園&買い物へ行けるのに・・・。クスン・・・。
 実家に到着したら、子ども達はさっさと家に上がってしまった。お泊りが嬉しくって、興奮してる。
 私は呆然と、玄関に立ち続けてみた。
 子ども達の洋服の着替えとおもちゃが入ってるバッグを母に渡した。いつも持ってるのが、こんな時に役立つなんて・・・。
 ここの家には、子ども達の服とパジャマも置いてあるし・・・。まるで、我が家じゃん・・・。
「まゆこ、気をつけてね。明るいうちに早くアパートに帰りなさいよ!」
 ・・・母、冷たいし・・・TωT・・・。
 おなかの赤ちゃんの事ばかり心配して・・・(ToT)・・・。
「・・・玲ちゃん、侑ちゃん・・・、ママ・・・ほんとに帰っちゃっても・・・平気なの?・・・」
「うん!ママ、バイバイ〜!」
「ばいばい〜!」
「・・・ほんとに大丈夫?・・・パパとママ・・いなくて、寂しくない?・・・寂しいでしょ?・・・」
「平気!おばーちゃんがいるし、諒ちゃんも帰って来るよ!明日はおじーちゃんも帰ってくるもん!」
「もん!!」
「・・・うん・・・わかった・・・。なら、平気だね・・・。じゃあね・・・・ママ、帰るね・・・。」
 悲しそうに言ったんだけど、子ども達はもう、ママなんかいらない!って感じ・・。明るく笑うと、さっさとリビングの中へ走って消えてしまったし・・・。
 家の中の子ども達の「おばーちゃん!おばーちゃん!」ってはしゃぐ声を聞きながら車のエンジンをかけて、泣く泣く1人で運転してアパートに帰った・・・。
 ぐれてやる!
 帰宅して、しょんぼりとアパートの外階段を上がった。子どもが2人もいないなんて・・・。せめて、侑だけは、私と一緒にいてくれる・・って思ったのに・・・。
 ・・・悲しい・・・。
 これが噂に聞く、子ども達の巣立った後主婦を襲うという、空の巣症候群・・ってやつなのね・・・。
 階段を、ぬぼう〜っと2階に上がりきったら、うちの玄関の前に女の人が1人で立ってるのに気付いた。
 ・・・
 訪問教材の人?
 ・・・きれいな人・・・30代後半?・・・
 黒のスカートスーツを着てる・・・。足、細っ・・・!スタイル良い!!
 でも、夕方に訪問かあ〜・・・。5時過ぎてるよね・・・。
 これからご飯作るから、忙しい時間なんだけど・・・。妊婦だし、ゆっくり座って休みたいし・・・。
「・・・こんにちは・・・。」
 玄関のドアの鍵を開けにくかったので、恐々と、声をかけた。
「・・・え?・・・奥さん・・・?・・・・結婚したの?!」
「・・・??・・・・」
「・・・」
「・・・えっと・・・そうですが・・・。この家の者です・・・。」 
「・・・結婚したんだ〜・・・。」
「・・・」
 むむむ?・・・
 いきなり「結婚したの?」って・・・。
 ・・・一体どういう反応?・・・
 すっごい驚いてるし・・・。私のおなかも、じろじろ見てるし・・・。
 ・・・
 なんだ?この人・・・?
 もしかして、元基くんの知り合い?
 ・・・って、態度でかくない?・・・
 失礼千万な人だけど・・・でも、もしかしたら、私の知らない元基くんの親戚かも・・・。
「良かったら・・・上がりますか?・・・どうぞ・・・散らかってますけど・・・。」
 なんだかつい自分でもわからないまま、誘ってしまった。
 ・・・っていうか、さっさとお茶でも飲んでもらって、追い返そう〜みたいな・・。
「・・・・えっ?・・私が?・・・」
 ・・・
 そう!あなたよ!
 ・・・さっきから、なんなの〜?この人^^;・・・。
 話がスムーズに進まない〜!! 
「あ・・・どうぞ・・・。コーヒー1杯位・・・いかがですか?」
「・・・えっと・・・。じゃあ・・・まあ・・・お邪魔しますけど・・・。」
 知らない人を家に上げたりして、元基くんが怒りそうだけど・・・なんだか流れ?・・・
 教材の販売では・・・なさそうだよね・・・。
 ・・・
「どうぞ、コタツ、座って下さい・・・。」
「・・・」
 スーツで座りにくいかもって思ったけど・・・まあ、いいや・・・。
 慌ててコーヒーを用意して、この珍客ににお出しした。目の前に、どっこいしょと座ってみた。
 ・・・一体、誰なんだろう・・・。
 謎〜・・・。
「・・・えっと・・・あのう・・・失礼ですけど・・・ご親戚の方・・・ですか?・・・主人の従姉妹・・とか?・・・・」
 ヒロさんとユミちゃん以外知らないし・・・。
 お義母さんの兄弟の方の、従姉妹かな〜・・・。
「・・・違います。・・・知りたい?・・・はっきり言っちゃって良い?」
 ・・・からみにくい・・・。
 もったいぶってる・・・。
「・・・ええ・・・まあ・・・教えて下さい・・・。」
「元カノ!・・・私達、つきあってたの!元基が大学の時!!!」
 おお〜〜〜!!
 アノ人か〜〜!!
 ハンバーガーショップで座って、元基くんの顔を見ていた人!
 お金でつきあってた人!
 仕事のバリバリできる彼女!!(想像) 実は元基くんの事を大好きだった人!!(妄想)
 懐かしい〜!!面影あるわ〜、そういえば!!
 って、きゃ〜!!何しに来たんだろう〜!!
 不謹慎だけど、わくわくする〜!!萌!
 もしかして、修羅場?!
「・・・あ〜・・・。・・・あのきれいな人ですね〜。」
 なんだか妊娠してるせいか、元彼女なんて聞いてもぼーっとして、反応が鈍くなってる。
 ・・・私、とんちんかんな事言ってるかな・・・。 
 もしかして、まずい人を家に上げちゃった?・・・
 でも、この人からは毒気感じないし・・・。
 きれいな人だし・・・。
 やばい・・・私も、うりちゃんみたいに、基本レズかも・・・。
 これからどんな展開になるのか、わくわくしてる自分がいるのが怖い・・・。「アノ人を返して!」的な事かな・・・。きゃ〜!!(#^.^#)
「・・・元基と、いつ結婚なさったの?」
「・・・えっと・・・4年・・・?・・・5年前?・・・だと思います・・・。」
「誰がプロポーズしたの?奥さん?」
「いえ・・・主人からです・・・。」 
「まじー?・・・元基からなの?〜・・・。驚き〜・・・。へえ〜〜〜・・・・。」
 ・・・なんで一々驚くんだろう・・・この人わ・・・^^;・・・。
「・・・どうして・・・驚き・・・なんですか?」
「どうしてって、あなたも感じない?あの冷たさ100%みたいな元基が、女の子に結婚しよう〜なんて言う不思議さを!!・・・あなた、元基と、結婚生活みたいな普通の暮らし、出来るって思った?」
「・・・?・・・元基くんは、誰よりも優しいですよ?・・・」
「え〜・・・?!!本性、知らないの?」
「えっと・・・他の人には冷たいの、知ってます・・・^^;・・・。本人も言ってました・・・。でも、いつも反省してますよ・・・。」
「ふうん・・・。・・・お子さん・・いるみたいだけど・・・元基、可愛がってる?」
「はい、子ども大好きで、メロメロです〜。」
「・・・嘘みたい!」
「・・・」
 なんだかすごい・・・。
 ここまで元基くんを否定する人も面白いし・・。
 かなり、興味津々になってきちゃった・・。
「・・・ねえ・・、知ってる?・・・あたし達のつきあい・・・聞いた事ある?」
 キターーーー!!
 \(^o^)/ワクワクドキドキ!!
 核心的部分!!
「はい・・。」
「・・・ショックだったでしょ?・・・お金がからんでる・・・なんてね?」
「・・・う〜んと・・・、特にはあんまり・・・。」
 そうなんだよね・・・。
 ・・私、はっきり言って興味本位のほうが先に立っちゃって・・・むしろ、カッコいい!なんて思った程だし・・・。
 ホストみたいな元基くんと、その過去に対して、非常〜に萌えてたんだよね〜・・・あの頃、実は・・・。
「・・・」
 あれ?
 お姉さん・・・黙っちゃった・・・。
 ここは、話し易いように、フォローしないと?・・・
 元基くんの過去を聞きたい!!
「えっと・・・。元基くん、素敵な人だったから・・・。私、あの頃、思ってました・・・。元基くんがあれだけ堂々としてカッコいいのは、前の彼女さんに鍛えられていたんだろうな・・って・・・。」
「何を?あっちの事?」
 ・・・下かよ!?
「・・・えっと・・・。アハハ・・・全部です〜・・。」
 つい、笑っちゃったし・・・。
 照れ隠しっていうか・・・私の反応、おかしいかも・・・。
 うかつな事言って、この人、怒らせないようにしないと〜〜・・・。
「私、美男美女で良いなあ〜って思ってたんですよ〜。想像をふくらませていました・・・。」
「・・・ふうん〜・・・そうなの?・・・じゃあ、また、私と元基、付き合っても良い?奥さん公認って事で。」
ものがたり | 08:28 | comments(0) | trackbacks(0)
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